Riskifiedニュース

July 13, 2020

 

AIがカード不正使用をいち早くキャッチ、見逃しは全額弁済

 EC(電子商取引)が生活の隅々まで浸透するにつれ、オンライン決済におけるクレジットカードの不正使用は年々増え続けている。英国Juniper Researchの調査によれば、オンライン決済の詐欺が2018年から2023年で1300億ドルに達すると見られ、被害は深刻化する一方だ。

 国をまたいだ越境取引が急増した2010年代からは国際的な犯罪組織による攻撃も増えるなど、新たな脅威も出てきた。顕著なのがクレジットカード番号の盗用であり、気づかない間に不正請求されていたというパターン。しかしクレジットカードの不正使用による損害は特別な理由を除き、消費者に対してはカード会社経由で補償が実行される。

 この仕組みをチャージバックと呼ぶが、ここで打撃を受けるのは加盟店にほかならない。カード会社はEC事業者などの加盟店に対して不正取引が発生した旨の通知を行い、売上を取り消すことになるからだ。加盟店にとっては売上がなくなるばかりか商品が戻ることもないため、まさに踏んだり蹴ったりの状態になってしまう。だがオンライン上のトランザクションは複雑であり、攻撃者は巧妙にその隙を突いてくるため、セキュリティのイタチごっこが続く。

 イスラエルのテルアビブに本社を置くRiskifiedは、こうしたクレジットカード決済のチャージバックリスクを保証するスタートアップ。AIを活用した独自の購買分析、機械学習に基づいた不正分析技術により不正使用を素早くキャッチし、正常使用と判断した取引を保証する。万が一、保証した取引が不正使用だった場合は、Riskifiedが被害額の全額を負担。これにより事業者の売上損失を回避するとともに、安全・安心にECに取り組める体制をサポートしている。

今回のインタビューに答えてくれた面々。左からNTTデータの山村哲平氏、Riskifiedのメイラブ・ペレド氏、NTTドコモ・ベンチャーズの木村裕一氏

 NTTドコモ・ベンチャーズは早い段階からRiskifiedに着目し、2016年2月に出資を実施。以降、協力関係を深めてきた。地元経済誌で「2019年に最も将来性のあるスタートアップ」の1位に選ばれ、すでに巨額の資金調達を果たすなど、イスラエルでは次代のユニコーン候補と目されている。同社は今回、「DOCOMO Open House 2020」に出展。理想的な協創のあり方について、Riskified グローバルパートナシップ ディレクターのメイラブ・ペレド氏、NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 グローバルペイメント&サービス事業部 グローバルビジネス統括部 グローバルビジネス担当課長の山村哲平氏、NTTドコモ・ベンチャーズ ディレクターの木村裕一氏に聞いた。

新しいビジネスモデルを開拓しているのがポイント

――まずはRiskifiedの事業について教えてもらえますか。

ペレド氏:2012年にイスラエルのテルアビブで創業し、クレジットカードの不正使用を防ぐソリューションを開発・提供しています。通常、ECで不正取引が発生すると、多くの場合その責任と負担は加盟店が担うことになります。これをチャージバックと言いますが、我々は加盟店に対してこれを保証しています。Riskifiedで高精度に不正使用を検知し、もし見逃してしまったときにはチャージバックの保証分を全額弁済するビジネスモデルです。

Riskifiedの技術的な強みとビジネルモデルについて話すペレド氏

――異常を検知して加盟店にアラートを報告するサービスはたくさんありますが、保証分を弁済するモデルは斬新です。それだけテクノロジーに自信があることの裏返しだと思いますが、具体的にはどのような仕組みなのでしょうか。

ペレド氏:コアになるのは機械学習を活用したAI技術です。膨大な取引データを分析・学習して、リアルタイムで正常な取引か不正な取引かを判定します。

 通常、加盟店は不正取引のリスクを避けるために取引の承認率(正常と判断する取引の率)を厳しく見る傾向にありますが、Riskifiedの高精度な検知アルゴリズムを活用することでより正確に取引のリスクを見極め、承認率を向上させることが可能となります。例えば、Riskifiedの導入前に承認率が94%で、導入後に98%まで向上した例もあります。4%向上すれば、仮に売上規模が100億円だとしたら4億円を失わずに済んだことになる。Riskifiedの利用料を支払ったとしても十分お釣りが来る計算です。2000社以上が加入している中、この7年間で契約を解除したのはわずかに1%。それだけ顧客満足度が高いサービスだと自負しています。なお、大前提としてチャージバックを100%回避することは難しく、Riskifiedを導入済みの顧客に対して保証はもちろん発生します。

山村氏:補足すると、不正の可能性があると判定した時点でクレジットカード決済を通さないようにしているんです。ですが、100%不正かどうかグレーなケースも増えてきているのも事実です。RiskifiedはそこでAIによる判定を行い、ゴーサインを出した取引が不正だった場合に保証する、というフローになります。加盟店にしてみればこれは取引の安心材料となり、非常に良いサービスとして受け止められています。

――NTTデータではRiskifiedと協業を進めていますが、その内容は?

山村氏:最初に背景から説明します。2015年、NTTデータでは100%子会社として香港にNTT DATA Hong Kong(以下NTTデータ香港)を設立しました。金融におけるアジアのハブである香港にペイメントゲートウェイを設け、成長が著しいアジア太平洋地区のペイメントサービスを強化・拡大していくことが目的です。

 一方、越境取引が加速するにつれてECでは不正も飛躍的に増えています。日本企業が海外に進出する際、こうした不正への対策は避けて通れない道と言っても過言ではありません。そこでタッグを組んだのがRiskifiedというわけです。ペイメントはNTTデータ香港、不正はRiskifiedが担当することで、オフェンシブ、ディフェンシブ双方をカバーしながらお客様に価値あるサービスを提供していきたいと思います。

山村氏は、アジアNo.1のペイメントサービスを目指すNTTデータ香港にRiskifiedは欠かせないと語る

――NTTドコモ・ベンチャーズは2016年に出資しました。協業に至るまでの流れは。

木村氏:弊社は2008年2月に発足し、2014年の段階からイスラエルのスタートアップへの投資の可能性を探ってきました。テクノロジーが発達し、数々の魅力的な企業が生まれていたからです。せっかくイスラエルをターゲットにするのであれば、日本には存在しない新しいビジネスモデル、あるいは自ら市場を開拓しているような勢いのあるスタートアップに投資したいと考えていました。その流れから2015年11月にNTTデータのオープンイノベーション担当者らと現地視察に行き、フィンテック関連の1社として訪問したのがRiskifiedです。

 当初はなかなか協業のシナリオが見つかりませんでしたが、コミュニケーションを重ねるうちに「これはぜひ一緒にやるべきだ」との思いが強くなりました。そこでまずは2016年に出資を行いました。これはNTTドコモ・ベンチャーズとして初めてのイスラエルのスタートアップへの出資となります。その後、弊社の強みを生かしてNTTグループの組織に紹介していったところ、NTTデータ香港が前向きな興味を示し、今回の協業に至ったのです。

イスラエルに赴き、Riskifiedを発掘した木村氏

――日本から出資の話が持ち上がったとき、Riskifiedはどう感じましたか。

ペレド氏:実に光栄でした。我々はこれまでに欧米を中心に展開してきましたが、これから始まる日本やアジアにおける事業では、現地法人ときちんとしたパートナーシップを結ぶことが重要になってきます。なぜならAIという最先端テクノロジーを活用していても、Riskifiedのビジネスの根幹は相互の信頼関係にあるからです。ですから、ローカルの加盟店と幅広いコネクションを持つNTTデータ香港との協業はとても魅力的です。もちろん、最初にチャンスを与えてくれたNTTドコモ・ベンチャーズにも感謝しています。

木村氏:最初に注目したのは、単なる検知サービスにとどまらない点でした。通常、こうしたサービスは加盟店に危険をレコメンドして終了してしまい、結局のところ弁済は加盟店が持たねばなりません。しかし、Riskifiedはテクノロジーでとことんまで検知の精度を高め、見逃した場合は自分たちが弁済するというビジネスモデル。そこまで踏み込んでビジネスを開拓しようという姿勢に強く惹かれました。加盟店側も、「そこまでカバーしてくれるのであれば導入しよう」となってきます。

――今後、アジア市場を拡大していくNTTデータ香港にとっても力強いサポーターですね。

山村氏:その通りです。日本でもいま、インバウンドの影響もあり越境購買が盛んになってきていますが、クロスボーダーの取引が増大すれば不正も増えてきます。サイバー攻撃は想像を超えたレベルで進化しているので、Riskifiedのように不正対策に特化したサービスと協業することは理にかなっているのです。

今後の関係にも期待を寄せる参加者たち。インタビュアーはモデルの海凪よちさんが務めた

――最後に、それぞれが目指すゴールを一言。

ペレド氏:ECの最大の特徴は、国境が関係ないということ。Riskifiedはこれまで、世界190カ国でクロスボーダートランザクションの実績があります。グローバル展開をしている顧客もたくさん抱えており、膨大な不正検知のノウハウを蓄積してきました。我々のサービスを導入することで、日本でも海外でも同じようなカスタマーエクスペリエンスを提供できると信じています。

山村氏:NTTデータ香港としては、まずアジアでNo.1のペイメントサービスを提供することを目標としています。とりわけ中国や東南アジアではクレジットカード以外の決済方法もどんどん普及していますから、時代の流れをしっかりと捉え、現地のパートナーと協力しながら、シングルインテグレーションでお客様にペイメントサービスを提供できるようにしていきたいですね。

木村氏:今年から5Gの商用サービスが始まり、ECを取り巻く状況も変化していくと思いますが、5G時代になっても不正注文や詐欺はなくなりません。逆に損害が増える可能性があります。誰かがリスクを取らなければいけない状況でRiskifiedのような企業が増えてくれれば、また違った形でECが発展していくのではないでしょうか。そして新しい市場が形成されれば、ビジネスチャンスも広がります。

 シリコンバレーのみならず、イスラエルはイノベーションにおける“もう1つの極”になりつつあり、現在、弊社でも6社ほどに出資しています。今後もNTTグループの人たちと一緒に現地に足を運び、将来的に伸びそうなベンチャーをきちんと発掘していくことも我々の役割だと思っています。

 

 

記事は次のリンクからご確認いただけます:https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/20/nttdocomov0316/

 

 
 
 
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